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2006年04月13日 [21:51] [映画レビュー]フランス映画 

映画に愛をこめて アメリカの夜 Day for Night

「映画に愛をこめて アメリカの夜」  5点満点中 

監督・出演:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャクリーン・ビセット/バレンティナ・コルテーゼ/ジャン・ピエール・オーモン/ジャン・ピエール・レオ/ダニ/アレクサンドラ・ステュワート

■AWARDS■
★アカデミー賞★
外国語映画賞 受賞

監督賞 フランシス・トリュフォー ノミネート
助演女優賞 バレンティナ・コルテーゼ ノミネート
脚本賞 ノミネート

★イギリス・アカデミー賞★
作品賞 受賞
監督賞 フランシス・トリュフォー 受賞
助演女優賞 バレンティナ・コルテーゼ 受賞

★ゴールデン・グローブ賞★
外国語映画賞 ノミネート
助演女優賞 バレンティナ・コルテーゼ ノミネート

★全米映画批評家賞★
作品賞 受賞
監督賞 フランシス・トリュフォー 受賞
助演女優賞 バレンティナ・コルテーゼ 受賞

★ニューヨーク映画批評賞★
作品賞 受賞
監督賞 フランシス・トリュフォー 受賞
助演女優賞 バレンティナ・コルテーゼ 受賞

■PLOT■
フェラン監督(フランシス・トリュフォー)による新作映画「パメラを紹介します」の撮影がニースで始まった。監督のフェランは様々な事の相談に乗り、様々な事柄の決断をする。決して気が休まる暇が無く、撮影が始めってからおかしな夢を繰り返し見る。また、主演俳優のアルフォンス(ジャン・ピエール・レオ)は自分の恋人リリアーヌ(ダニ)を撮影隊にスクリプト・ガールとして参加させ、彼女に夢中である。しかし、リリアーヌは常に男の影をちらつかせ、アルフォンスは嫉妬に悩まされていた。また、アルフォンスの父親役として出演するアレクサンドル(ジャン・ポール・オーモン)は、完全秘密主義。そんな彼は頻繁に空港を訪れては、イライラしている。アレクサンドルは恋人を空港に迎えに行っていた。しかもその恋人とは若い男性であった。秘書役で出演している女優(アレクサンドラ・ステュワート)は、突然、フェラン監督からプールで泳ぐシーンを撮影したいとの申し出を受ける。彼女は強烈に水着での撮影を反対するが、監督に説得され水着姿で現れた彼女を見てフェラン監督は愕然とする。彼女は妊娠していたのだった!様々なトラブルが起きつつ、撮影は進んでいくのだが…

■COMMENT■
「パメラを紹介します」という本作の映画監督フランソワ・トリュフォー演じるフェラン監督の最新作の撮影開始から撮影終了までを描いた傑作。完璧に全てをこなそうと考えていたフェランが目の当たりにする数々のトラブル。トラブルを対処していく内に、フェランはアップアップになり完璧どころか、その場しのぎの作品を撮っているような感覚で進んでいく。結論を語ってしまうが、フェラン監督はトリュフォー監督を色濃く投影している。その場しのぎで常に仕事に追われ、私生活を一切現場に持ち出さないフェラン監督はトリュフォーそのままなのである。様々なトラブルに見舞われても決して撮影を止める事は無く、様々な代替案を持って撮影を進めていくトリュフォー。まるで映画の撮影は人生そのものであり、決して止めることは出来ない。映画の撮影は人生と同じで決して完璧に進むことは無い。だから人生にも完璧は無いんだ。その場その場で出来るだけベストと思われる決断を下し、少しずつ人生は進んでいくんだと。だから、大丈夫。何事も焦る事はないよ、と。それをトリュフォーは本作の中で我々観客を勇気付けてくれていると僕は思っています。また、蛇足ではありますが、作中のフェラン監督は補聴器を付けており、トリュフォー監督が戦争時に難聴になった経緯から、フェラン=トリュフォーである事を印象付けるために、補聴器で表現しているとの見方もあります。(この補聴器には様々な効果があり、監督という職業は他のスタッフや出演者の意見を余り聞けませんという意思表示の現われとも言われている)

トリュフォーは幼少期は両親に隠れて映画を鑑賞し、映画の評論家として活動するも映画監督へと転身し、ヌーヴェル・バーグの仲間入りを果たし、順調の映画活動を送り、生涯を終えている。ここまでに映画尽くしの人生を送ったトリュフォーであるが、映画の中でも思わず「ニヤリ」としてしまうシーンが登場する。トリュフォー演じるフェラン監督と「パメラを紹介します」のプロデューサーが、日本へやってきている作曲家から映画のための曲を電話にて聞かされる。耳を電話を通してその音楽に耳を傾けつつも、フェラン監督は机の上に置いてある小包を開ける。中からはヒッチコックやホークスベルイマン、ゴダール、ロッセリーニ、ブニュエルなどの書籍が。ここでの映画好きのトリュフォーは自らが敬愛する映画監督を登場させ、映画に対しての愛着を感じさせる作りとなっている。

また、特筆すべきが何点も本作には登場するが、まずオープニング・シーンが素晴らしい。オープニング・クレジットと共に、フィルムのサウンドトラックが映る。そのサウンドトラックから流れてくる音を背景に本作の指揮者の声が聞こえてくる。指揮棒を叩く音や指揮者の指示の音でサウンドトラックの縦線が震え、形を激しく変えさせる。そしてその後に強烈なスチール写真が映る。リリアンとドロシー・ギッシュの姉妹である。そしてトリュフォーの署名入りの「リリアン、ドロシー・ギッシュに捧げる」との献辞が登場する。そのギッシュ姉妹は何者かに拳銃で脅されており、姉妹は恐怖に震えがっている。世にも恐ろしい形相である。何の映画かは分からないがかつてのサイレント映画の一場面である事は明らかであり、オープニング・クレジットからこの献辞に至るまでトリュフォー監督のギッシュ姉妹への愛情へ表現の一種であると考える。ギッシュの声が画面を揺らす事はなかったが、トリュフォーの心情を見事に揺さぶったのである。トリュフォーの狂おしいほどにもギッシュ姉妹への愛情を感じ、トリュフォーの「映画大好き」宣言でもあるが如く、きらりと光っている。

本作のキャストは大変良く、トリュフォーを始め何人かのスタッフも本作にそのまま出演している。アカデミー賞にノミネートされたバレンティナ・コルテーゼ演じるおばさん女優は何度見ても楽しい。大変表情が生き生きしていて、記憶力が悪くなり、なかなか役柄のオファーも少なくなってきた年増の女優の悲しみを飄々と演じている。楽しいシーンがコルテーゼ演じる女優が台詞を間違えたり、開ける扉を間違えたりと何度も何度も同じシーンを取り直すシーンがある。まず、一度目のシーンではコルテーゼを追い、次には「間違えるなよ!」と心配そうにコルテーゼを見つめるスタッフたちが映る。合間合間には「私にはもう役が来ない」とか「覚えられない」などと泣き叫ぶコルテーゼの姿が映り、それを慰めるトリュフォーが映る。また取り直しで、緊張感が高まるスタッフたち。このシーンが見ていてとても楽しい。こういったところでそれぞれが抱える悩みや現実を鋭く切り出すトリュフォーは大変巧いなと感心しました。

結局、本作にはストーリーといえるストーリーは存在せずに、一つの映画の製作過程を楽しめる作りとなっている。映画ファンが絶対避けては通れない本作。アメリカ題名「Day for Night」とは、昼間にカメラのレンズにフィルターを使い、夜間のシーンを撮る手法のことを言います。よくアメリカ映画に使われる手法の一つであり、トリュフォーのアメリカ映画に対する愛着や賛辞も多分に感じられる映画に仕上がっています。
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